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2026.05.01
100%天然素材の服は「土に還る」のか? 実験で見えた事実と次なる課題
現在進行中の、【100%天然繊維】を用いたバイオリアクターでの分解実験に関する経過報告です。
■ 実験結果:天然素材は「微生物の力」でしっかり分解される
添付の動画で示している通り、リアクター内の微生物の作用により繊維の加水分解が進行し、布の物理的構造が容易に崩壊する状態へと至りました。 これにより、「天然素材のみであれば、適切な微生物環境下で問題なく分解される」ということが実証されました。
■ 過去の予測と、現在「庭の土に埋める」ことを推奨しない理由
以前のブログにて、「もし分解できれば、ゆくゆくは各ご家庭の庭の土に埋めて還すことができるのではないか」という希望的な予測をお伝えしました。試行錯誤のプロセスとして当時の記事を削除して無かったことにするつもりはありませんが、検証を進める中で、現時点ではその手法を推奨することは厳しいという判断に至りました。
理由は「生活環境下で付着する不純物」です。 製品が100%天然素材であっても、着用や洗濯を繰り返す過程で、洗剤・柔軟剤由来のシリコンや、他製品由来のマイクロプラスチック等がどうしても繊維に付着・残留します。これをそのまま各家庭の土壌に埋めれば、布自体は分解されても、微小な不純物が少しずつ土壌に蓄積していく恐れ(環境リスク)があるためです。
■ ただ「分解する」から、その先の循環へ
今後の方向性として、私たちはただ「分解されるか」を確認して終わらせるつもりはありません。 これらの不純物の無害化や、分解時に放出される炭素量・エネルギー効率を踏まえた上で、「土壌還元」を進めるべきか、あるいは炭素を固定化する「炭化」という選択肢が最適なのかを評価していきます。
不純物の蓄積リスクも含め、どうすれば服のより良い循環(サーキュラー)を作り出せるのか。引き続き、客観的な検証と模索を続けてまいります。