COLUMN記事
JOURNAL
2026.03.15
【服作りの解体新書】縫製工場のリアルと、ブランドが共に歩むための構造的理解【3】
アパレル生産のリアル。「キャパ取り」の裏側と工場の防衛策
サンプルの壁を越え、いざ量産となった際、ブランドと工場の間でシビアな摩擦が起きるのが「スケジュールの確保(キャパ取り)」です。ここには、工場側が語ろうとしなかった構造的な真実が隠されています。
「キャパ取り」の正体=工場の「時間」を買うということ
工場における「キャパ(生産枠)」とは、「職人の稼働時間」そのものです。キャパを押さえるということは、その期間、工場は他の仕事を断ってラインを空けて待っている状態になります。
予定通りにいかない前提と、工場がとる防衛策
製造現場では「予定通りに事が進まない」のが常態化しています。資材の到着遅れなどでラインが止まれば、工場は赤字を垂れ流すことになります。損害をペナルティとして請求すればブランドは資金ショートを起こすため、工場は自ら以下の防衛策を講じます。
〇余裕を持たせたスケジューリング
〇稼働日の調整(36協定の範囲内でのコントロール)
〇ファクトリーブランドによる閑散期調整
〇オーバーブッキング(一定の遅延を見越した、キャパ以上の受注)
こうした防衛策で工場は生き残っていますが、限界もあります。オーバーブッキングの結果、1つのブランドが予定を守っていても、他の遅れによるスケジュールの圧迫(納期の遅延など)は「全員で負い合う」ことになります。自身のブランドの予定変更は、こうした防衛策を通じて「他のブランドの首も絞めている」という連帯責任の構造があるのです。