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2026.04.06

アパレル国内生産率1.4%の現在地と、私たちが次のステージへ進む理由

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「私たちは希少な1.4%の国内生産を守っています」

アパレル業界において、このような言葉を耳にする機会が増えました。「Made in Japan」の価値を評価していただくことは、生産現場に立つ者として大変ありがたいことです。

しかし、ミシンの前に座り、毎日物理的な「モノ」を生み出している現場の視点から見ると、この「1.4%を守ってきた」という表現には、少しばかりの違和感を覚えるのも事実です。

本日は、日本のモノづくりの最前線にいる立場として、この「1.4%」という数字の背景にある客観的な事実と、私たちがこれから向かうべき道について、少しお話しさせてください。

 

1. なぜ「1.4%」になったのか

かつて国内の半分以上を占めていたアパレル生産インフラが、現在1.4%まで縮小したのには明確な理由があります。

それは、アパレル産業全体が、よりコストメリットのある海外生産へと大きく舵を切ったという歴史的な事実です。自国の生産背景を持続可能にするための仕組み作りや設備投資よりも、経済合理性に基づくコスト削減が優先された結果、国内の多くの工場が閉鎖を余儀なくされました。

つまり、現在の1.4%は「計画的に守られてきた数字」というよりも、大規模な生産拠点のシフトが起こった結果として「残された数字」というのが、実態に近いと言えます。

 

2. 現在の1.4%を支えているものは何か

では、その残されたわずか1.4%の工場は、なぜ今も稼働できているのでしょうか。

それは業界全体からの手厚い保護や投資があったからではなく、生産現場の徹底した自助努力による部分が非常に大きいのが現実です。

職人たちの技術の研鑽、経営を維持するための徹底したコストダウン、そして「ミシンを止めない」ためのギリギリの資金繰り。現在の「Made in Japan」という付加価値は、こうした生産現場の並々ならぬ努力と、時に自己犠牲とも言えるような踏ん張りの上に成り立っています。

しかし、発注元と委託工場という従来の関係性のままでは、生産現場に十分な利益が残る持続可能なビジネスモデルを築くことは極めて困難です。

 

3. これからのモノづくりと、私たちが向かう場所

こうした現状を踏まえ、私たちは自らのあり方を見つめ直し、新しい歩みを進めることにしました。

それは、従来の「発注側と受注側」という枠組みを超えて、生産現場としての自立を目指すということです。

誰かの仕組みに依存するのではなく、自らの足で立ち、技術とインフラの価値に責任を持つ。そして、同じ志を持って真摯に服作りに向き合ってくださるブランド様やクリエイターの方々と共に、これからの新しい土台を築いていきたいと考えています。

現場で毎日「物理」を生み出している私たちだからこそ、できることがあると信じています。 明日も本当に価値のある1着を生み出し続けるために、私たちは次のステージへ進みます。